青柳碧人

【小説】青柳碧人『むかしむかしあるところに、死体がありました。』~昔ばなしをアレンジした本格ミステリー~あらすじと感想

2023年3月11日

『むかしむかしあるところに、死体がありました。』青柳碧人~昔ばなしをアレンジした本格ミステリー

こんにちは、MAMOKOです。

本日も私が今までに読んだ小説を紹介します。

今回ご紹介するのは、青柳碧人さんの『むかしむかしあるところに、死体がありました。』です。

MAMOKO
MAMOKO
一言でいうと、新しい昔ばなし

こんな人に読んで欲しい

昔ばなしが好きな人
普段ミステリーはあまり読まない人
本屋大賞ノミネート作品が読みたい人

Amazon商品の説明より

昔ばなし、な・の・に、新しい!鬼退治。桃太郎って……え、そうなの?大きくなあれ。

一寸法師が……ヤバすぎる!ここ掘れワンワン。埋まっているのは……ええ!?

「浦島太郎」や「鶴の恩返し」といった皆さんご存じの《日本昔ばなし》を、

密室やアリバイ、ダイイングメッセージといったミステリのテーマで

読み解く全く新しいミステリ!

「一寸法師の不在証明」「花咲か死者伝言」「つるの倒叙がえし」

「密室龍宮城」「絶海の鬼ヶ島」の全5編収録。

あらすじと読んだ感想

一寸法師の不在証明 一寸法師×アリバイトリック

鬼からお姫様を守った一寸法師。

打ち出の小槌で一寸法師じゃなくなった彼の計画とは……。

 

花咲か死者伝言 花咲かじいさん×ダイイングメッセージ

誰に対しても、動物に対しても優しかったお爺さんが

ある日殺されてしまいました……。

 

つるの倒叙がえし つるの恩返し×倒叙ミステリー

ある雪の日につうという女性を泊めた青年。

つうはお礼に反物を織りますが、青年はどんどん欲深くなり……。

 

密室龍宮城 浦島太郎×密室トリック

亀を助けた浦島太郎は、竜宮城へ招かれます。

飲めや歌えや楽しい時間、だけで終わらない。

招かれた理由がそこにはあったのです。

 

絶海の鬼ヶ島 桃太郎×クローズド・サークル

桃太郎は鬼を退治しました。

でも本当の戦いは、そこから始まりました。

 

昔ばなしを現代風にしたのではなく、ミステリーと融合させた斬新なお話。

こんなにおもしろくなるの?!って驚きと感動です。

わりとブラックだし、どのお話も人やら鬼やらが死ぬ話なので、

昔ばなしの世界観を大事にされている方には合わないかも。

 

みんなが知ってる昔ばなし。これは新しい昔ばなしです。

昔ばなしの主人公も、欠かせない脇役たちもいっぱい出てくる。

ただのパロディと思っていたけど、きれいになぞったミステリーでした。

しかも、本格ミステリー!めちゃくちゃおもしろかったです。

 

昔ばなしのアレンジだし、ちいさい頃に読んだ絵本のおかげで、

場面が想像しやすかったです。なのでとても読みやすい。

 

この本の好きなところは、昔ばなしなので、昔言葉でかかれているところ。

不在証明も死者伝言もなるほどって感じ!犯人は下手人。

時間の表現とかわかりにくいけど新鮮でした。

 

アリバイトリック(不在証明)、ダイイングメッセージ(死者伝言)、

倒叙、密室、クローズド・サークル、どれも本格でとても好き。

一番怪しくないあの人が犯人なんて!ってとこまでミステリーの王道を網羅。

知ってる話で読みやすく、ストーリーもミステリーもどちらも楽しめた!

 

よく知ってる話なので、

あれ?こんな悪いやつやったっけ?とか思うところもあるけど、

知らないときっと「へぇー、こんな話か。」って納得しちゃう。

めでたしめでたしでは終わらない。

ちょっと裏切られるラストも楽しみのひとつ。

切なさと、悲しさと、イヤミス感は否めないけど、

めちゃくちゃおもしろかったです!

伏線がいっぱいあるので、読み返すとさらにおもしろい。

 

それぞれ別の話だけど、集大成的に最後の「絶海の鬼ヶ島」で

まとまっていたのも、連作短編集っぽくて好きでした。

話ごとに欠かせないアイテム。絶妙なヒントになっててただただ感心。

5つの話の中で、主人公なのにあんまり出てこない桃太郎。

桃太郎からここまで壮大な話が出来上がるなんてマジで感動!

鬼ヶ島のクローズド・サークル、完成度高すぎ。

サルの語りで終わったのも、昔ばなし感があってよかったです。

 

そういうことを言いたいんじゃないだろうけど、

動物は大事にしないといけないなーなんて思いました。

 

\心に残った言葉/

"人間の女には、他人がいい物を手に入れると、それと同等か、

もしくはもっとよい物を欲しがる習性がある"

深い……。

最後に

青柳碧人さんの『むかしむかしあるところに、死体がありました。』は

とても新しい昔ばなしでした。

いい人が悪い人になったり、悪い人は悪い人のままだったり。

懐かしさをちょっと裏切るラストへの展開は驚きです。

知ってる話で読みやすく、本格ミステリーも楽しめるので、

ミステリーを読まない人にもぜひ読んで欲しい!

 

2020年の本屋大賞ノミネート作品です。

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本日は、以上です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

-青柳碧人